120分の激闘も実らず。PK戦で敗れた日本は準々決勝で姿を消す。

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2015.01.23
アジアカップ2015・準々決勝
日本 1(4PK5)1 アラブ首長国連邦[UAE]
日本:81分柴崎岳
UAE:7分マブフート

|如実に出た疲労蓄積、開始早々に今大会初の失点を喫す
グループDを完璧な内容で首位通過し、準々決勝に駒を進めた日本。中3日で試合に臨んだUAEに対し、日本は中2日ということもあって、疲労が抜けきっていないのは明らかだった。
しかし、日本のスタメンにはグループリーグ3試合と同じメンバーが名を連ねた。これは、アギーレ監督が勝負にこだわったための判断だと言えるだろう。グループリーグでは本田圭佑が3試合連続得点で好調を維持しており、3戦目のヨルダン戦では香川真司にもゴールが生まれた。守備陣も安定していて不安材料は少ない。いや、むしろ日程の厳しさを除けばチームは好材料がほとんどであり、準々決勝でメンバーを大幅に入れ替える必要性はなかった。
とは言え日本は、前半からコンディション不良の影響が如実に表れた。グループリーグではキックオフと同時に前線から激しいプレスを仕掛け、積極的にゴールを狙って“相手の出鼻を挫く”のが日本のパターンだった。しかし、この試合は日本がやりたかったことをUAEにやられてしまい、日本の前線は動きの重さもあって球際の競り合いでことごとく後手を踏んだ。
4分に左サイドをFWマブフートに突破されてGKと一対一の場面を作られてピンチを招くと、7分には右サイドを抜け出したマブフートが確実なトラップからDFラインの穴を見逃さず、冷静にゴール左へコントロールされたシュートを突き刺してUAEが先制。日本は今大会初の失点を喫した。
その後の日本は、ボールポゼッションこそ高かったものの、リードしたことで中央を固めて守るUAE守備陣を崩すことができない。右サイドの酒井高徳、左サイドの長友佑都が何度もクロスを入れ、ゴール前では本田圭佑、岡崎慎司、乾貴士が同点ゴールを狙って飛び込むが、いずれも効果的な崩しには至らなかった。さらに守備では、10番を背負い神出鬼没にポジションを変えるUAEの司令塔オマルを捕まえきれず、鋭いカウンターにヒヤリとさせられるシーンも見られた。結局、前半は多くの時間でボールを支配し、チャンスを作りながらもUAEディフェンスに穴を開けることはできず、日本は1点ビハインドで前半を折り返した。

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|柴崎の起死回生ゴールで同点に追いつくも逆転弾は生まれず
後半に入って日本は乾に代えて武藤嘉紀を投入し、さらに54分には遠藤保仁を下げて柴崎岳を投入。さらに前半の失点後に引き寄せた攻撃的な流れを加速させるべく、65分には故障を抱える岡崎慎司に代えて豊田陽平をピッチに送り込む。交代カードをすべて攻撃的なポジションで使うとともに、早めの時間帯で3枚の交代枠をすべて使い切った采配は、ピッチ上の選手たちへ「90分で逆転して勝負を決めろ!」というメッセージだっただろう。
すると、65分を過ぎた頃からUAEも足が止まり始める。前半は日本の動きの重さが目に付いたものの、こうなると状態はほぼ互角。変わらずに攻勢を仕掛ける日本はリズムを保ったまま相手に揺さぶりをかけ続けた。
両者ともに体力の限界が近づいて迎えた81分、ようやく日本は同点に追いつく。中盤でボールを持った柴崎が本田へ縦にくさびのパスを入れ、同時にゴール前に走り込みながらリターンを受ける。柴崎は本田が落としたボールを足もとに呼び込むと、小さなモーションからダイレクトで鋭いシュートをゴール左に突き刺した。
同点後、反撃の気配を見せないUAEを尻目に、日本は2点目を狙って攻め続けたが、やはり体力の消耗は否めない。途中交代で投入された武藤ですらシュートに正確性を欠く状態になり、試合は15分ハーフの延長戦に突入した。
そして延長前半、日本にアクシデントが発生する。この試合でも左サイドで積極的に上下動を繰り返していた長友が、攻撃に駆け上がった際に右もも裏を痛めてしまったのだ。チームは交代枠を使い果たしており、長友はピッチに残り続けたが、もはや満足のいくプレーができる状態ではなかった。延長でも攻撃の主導権を握った日本だったが、長友をかばいながらのプレーでは攻撃に幅を持たせられない。結局、日本は勝ち越し点を挙げることはできず、120分に及ぶ激闘は同点で終了。勝負はPK戦に持ち込まれた。

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|PK戦で敗れた日本に突きつけられた未解決の課題
運命のPK戦、先攻の日本は本田が1人目のキッカーを務めるが、キックは目を疑うばかりにゴール上へ大きく外してしまう。一方のUAEも2人目までは成功するも、3人目のイスマイールがゴール上に外して失敗。日本は2人目の長谷部から、柴崎、豊田、森重が決め、勝負は6人目まで持ち込まれた。
日本の6人目は香川。しかし、香川の蹴ったボールは無情にもゴール左ポストを叩いてしまう。UAEは6人目のアハメドがゴール左に決めたため、日本は準々決勝での敗退が決まり、大会から姿を消すこととなった。
コンディションこそ悪かったものの、試合の内容としては決して悪くなかった。球際の競り合いで勝てなかったことで苦しい試合になってしまったが、ピッチをワイドに使って攻撃を仕掛け、守備陣も序盤のピンチと失点シーンを除けば、それほど大きなピンチは見られなかった(相手が引いていたこともあるが)。ベンチワークに関しても正解だっただろう。スピードの武藤を入れ、故障を抱える岡崎に代わる選手は豊田が妥当だ。さらに柴崎は攻撃陣を牽引しただけでなく、ゴールという結果も残している。
ただ、やはり大会前から言われていた決定力不足という点では不満もある。武藤は途中交代ながら決定的なシュートシーンが少なくとも2度あり、試合全体で見ても5〜6回の決定機はあった。チーム全体の運動量が低調な中においては途中交代選手のプレーがものを言う場合が多い。その点では武藤と豊田は、ややピッチ上の流れにのまれてしまい、浮き足だって見えた。高さでもスピードでもなく、もう一枚、岡崎のような強さを持つストライカーが控えていれば……という気もするが、それもタラレバ。そもそも決定機を活かしていればいいことだし、それを言い始めてはきりがない。
5大会ぶりの準々決勝敗退という結果をどう次につなげるか。ブラジルW杯から続く課題は、いまだ未解決のまま残されている。

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(文/宮坂正志)


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