攻守に安定した日本が大量得点で大会好発進。

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2015.01.12
アジアカップ2015・グループD第1節
日本 4-0 パレスチナ
日本:8分遠藤保仁、25分岡崎慎司、44分本田圭佑、49分吉田麻也
パレスチナ:

|格上として万全な戦いぶりを見せ、前半で3点を奪取
日本代表が連覇を期して臨むアジアカップがオーストラリアの地で幕を開けた。アギーレ監督の八百長疑惑で騒がしい2015年を迎えた日本代表。前回大会は優勝したとは言え、初戦から苦しい戦いが続いた。ピッチ外の問題が影響を及ぼすかと思われたが、選手たちは外野の喧騒をよそに幸先良い内容で初戦を飾った。
初戦の相手パレスチナは長年の内戦による不安定な政治情勢にありながら悲願のアジアカップ本大会出場を果たした。他の中東各国に比べても情報は少なく、警戒すべき相手。その不気味なパレスチナに対し、日本は4-3-3のシステムでスタートした。スタメンは、GK川島永嗣の前に吉田麻也と森重真人がCBでコンビを組み、内田篤人が欠場した右SBに酒井高徳、左SBには長友佑都。中盤は長谷部誠、遠藤保仁、香川真司で構成され、長谷部と遠藤が攻守にポジションを頻繁に入れ替える。前線は本田圭佑、岡崎慎司に加え、武藤嘉紀ではなく乾貴士が先発メンバーに名を連ねた。
前回王者の日本は格下であるパレスチナを相手に、開始早々から強烈なプレッシャーを与え続けてゲームを支配した。ゴールこそならなかったものの、立ち上がりの1分には左サイドからの長友のクロスを、ゴール中央で岡崎が頭でそらし、最後はファーサイドで本田が詰めてパレスチナ守備陣に大きな圧力をかける。そして8分、中盤で左サイドの乾からパスを受けた遠藤が、ペナルティエリア手前のやや距離のある位置からグラウンダーのシュート。これが糸を引くようにゴールに吸い込まれ、日本があっという間に先制点を奪う。
強風が吹く中、風下に立つ日本は序盤こそ自陣へ流れて戻されるボールに苦しんだが、徐々に攻守ともに適応して守備陣も安定した守りを披露。前半はほとんど危なげないプレーを見せたと言っていいだろう。
そして25分には左サイドを突破した長友のクロスのこぼれ球に香川が反応。香川の強烈なシュートを、岡崎が頭で瞬時にコースを変えて日本が2点目を奪うことに成功する。44分にはPKのチャンスを落ち着いて本田が決め、3点のリードで前半を折り返した。

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|後半の中だるみは課題も、大会好発進の貫禄勝ち
後半に入って乾を下げ、清武弘嗣を投入した日本は、またもや後半開始早々の49分に追加点を奪う。CKの流れから香川真司が左サイドでボールをキープし、反転して絶妙なクロスをゴール前へ供給。頭ひとつ抜けた吉田が、高い打点でヘディングシュートを放ち、リードを4点に広げることに成功した。
日本はその後も攻撃の手を緩めず、遠藤に代えて武藤、さらには岡崎に代えて豊田を投入し、攻撃陣のみで交代カードの3枚を切った。交代で入った選手たちも総じて及第点のプレーはしていたが、後半の早い段階で4点目を奪いながら、やや中だるみになってさらなる追加点を奪えなかった点は次への課題に挙げられるだろう。
そして、後半は守備面でもヒヤリとさせられる場面があった。パレスチナは81分に右サイドの深い位置で得たFKから、ゴール前で長谷部のマークをかわし吉田にも競り勝ったバハダリが、強烈なヘディングシュートで日本ゴールを脅かした。前後半を通じて大きなピンチはほぼ皆無ながら、やはりセットプレーでは時折の不安定さが垣間見られる。格下の相手であれば目立った問題にはならないが、やはり今後の対戦を控えるアジアトップレベルの国々との対戦では足もとをすくわれかねない。快勝した結果は素直にプラスだが、苦しみ抜いた前回大会のことを考えると、楽観視ばかりもしていられない。

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|この圧勝劇は厳しい戦いへの序章にすぎない
とはいえ、チームの状態としてはこれほど絶好のスタートダッシュはない。前半の立ち上がりこそ、強風のコンディションと高い位置でのプレスがかわされてショートカウンターに移行されそうになる場面はあったが、それも長谷部を中心に前と後ろの選手が連動して守備にあたり、ピンチを招くことはなかった。
選手個々の動きが軽快だった点も、今後の戦いを考えると好材料だ。特にアギーレ体制になってから起用されるインサイドハーフでは目立った活躍ができていなかった香川も、この試合では縦横無尽に得意のドリブルを披露し、パス回しでも小気味よい球離れを見せていた。
次節はイラクとの対戦を控える日本。日程的にも対戦カード的にも、先々を見据えればグループ1位通過は絶対に成し遂げたいところだ。残り2戦は、選手集めにも苦労したというパレスチナとの対戦ほどのゴールラッシュは期待できない。むしろ、イラクもヨルダンも、パレスチナとは比べものにならないほどのチーム成熟度がある。初戦で勢いをつけたところで慢心せず、きっちりと次節をものにしたいところだ。

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(文/宮坂正志)


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