浦和レッズがタイトルを取れなかった理由

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|シーズン終盤に自滅した浦和
弱いから優勝できなかった。それが今シーズンの浦和レッズだった。
残り7試合を、1勝3分3敗。とても優勝するチームの成績ではない。残留争いの真っ只中にいるベガルタ仙台、ヴァンフォーレ甲府に1敗1分。いくら“アウェイの仙台は苦手”といっても2−4の完敗は、首位のチームとしてありえないこと。
大一番となった第32節の2位ガンバ大阪戦。勝ち点差は5。最悪、引き分けでも優勝に大きく前進する浦和と、勝たなければ厳しくなるG大阪。試合開始早々から浦和が主導権を握り、何度もチャンスを作っていた。ところが後半30分を過ぎても、浦和は攻め続けていた。いや、勝たなければいけないと慌てていたといったほうがいいかもしれない。どちらが2位のチームかわからない試合展開だった。結局、G大阪にカウンターから2点を奪われ、勝ち点差は2に縮まった。引き分けでも、優勝の可能性が大きく膨らむのであれば、後半30分をすぎてから、無理して攻めることはなかった。
続くサガン鳥栖戦では、アディショナルタイムに同点ゴールを決められ首位転落。最終戦の名古屋グランパス戦は、首位に立ったG大阪が最下位の徳島ヴォルティス相手にもたついている中、先制しながらも逆転負け。残り7試合の結果は、優勝を争っているチームではなく、まるで残留争いをしているチームの戦いぶりだった。G大阪が強かった、というよりも、浦和が自滅したのである。

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|リーダー不在、スタメンの固定…挙げられる理由
優勝できなかった理由は、いくつかある。
ひとつは、チームリーダーの不在。誰が、このチームをまとめているのか。槙野智章や森脇良太が、まとめられるわけがない。阿部勇樹は、そういうタイプではない。となると、生え抜きの鈴木啓太あたりがまとめなければいけないのだが、最終戦の名古屋戦でトドメを刺されたのは、鈴木のパスミスからだった。同点にされても、先制されても、チームを落ち着かせられる選手がいなかった。
もうひとつは、ゲームの流れを読める選手がいないこと。試合展開、点差、時間を考えて、今、何をするのが一番いいのかを判断できる選手。鹿島アントラーズなら小笠原満男、G大阪なら遠藤保仁、川崎フロンターレなら中村憲剛。いわゆる、ピッチ上の監督である。そういう選手がいれば、G大阪戦も0‐0で引き分けられただろうし、鳥栖戦も勝つことができたのではないか。
最大の原因はペトロヴィッチ監督の選手起用法である。10試合以上出場した選手はわずか17人しかいない。マルシオ・リシャルデスがケガから復帰し、原口元気がドイツに移籍したことを考えれば、実質16人。終盤に興梠慎三、鈴木啓太が戦列離脱したことを考えれば、終盤は14人で戦ったことになる。しかも、30試合以上出場した選手になるとわずか10人。いかにスタメンを固定して、交代選手もほとんど同じだったかが分かる。その選手起用法が、最終的に選手層の薄さに繋がった。

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|3年後、5年後を見据えた補強ができるか
山田直輝、濱田水輝、阪野豊史、矢野慎也など若くて将来性のある選手はたくさんいたはず。特に山田はユースからの生え抜きで、原口と共に期待されていた選手。ベンチに置いてはいたが、ピッチに立ったのはわずか2試合、時間にして15分しか出場していない。長いシーズン、終盤になれば目に見えない疲労がでてくるもの。早くから彼らを臨機応変に使っていれば、選手層は逆に厚くなっていたのではないか。そう考えると、今シーズンの浦和は、優勝できる選手層ではなかった。
また、守備が安定した。といわれているが、FC東京戦で4失点(この試合は両チーム合わせて3本のPKがありレフェリーの問題もあった)、柏レイソル戦、ヴィッセル神戸戦で3失点。ナビスコカップの徳島戦でも3失点と、シーズンを通して安定していたわけではない。2013年の56失点から32失点と大幅に数字を減らしたが、逆に得点も14点減っている。得点力を維持して失点を減らすということができなかったのも事実だ。
今シーズンは、無観客試合で損出を出したこともあるが、原口を出して、その穴を埋める補強もしていなかった。Jリーグは、残留のために補強はするが、優勝のための補強をしない。浦和は外国人枠が空いていただけに、その空きを埋められなかったのも優勝を逃した原因にひとつだろう。
こうして考えれば、今シーズンの浦和は優勝に相応しいチームではなかった。ただし、Jリーグ全体のレベルが落ちており、どこにでもチャンスがあったということもある。
浦和は来シーズンに向けて、大型補強をするようだ。決して悪いことではない。Jリーグの中で資金力はナンバー1。それも、頭ひとつ抜け出している資金力だ。AFCチャンピオンズリーグ出場も決まっており、補強するのは当たり前のこと。ただ、目先の強化のために補強するのではなく、3年後、5年後を見据えた補強ができるかどうか。そして、サンフレッチェ広島時代からスタメンを固定することが多かったペトロヴィッチ監督が、選手を使い切れるかどうか。
いずれにしろ、来シーズンも浦和は優勝候補になる。資金力からいえば、リーグを独走するぐらいの強さを発揮しなければいけないのだが……。
(文/渡辺達也)

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