長友は先発、本田は途中出場。歴史を作るもミラノダービーはドロー

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2014.11.23
イタリア・セリエA第12節
ミラン 1−1 インテル
[得点]
ミラン:23分ジェレミー・ネメズ
インテル:61分ジョエル・オビ

|インザーギとマンチーニ…名FWが指揮したミラノダービー
ミラノを二分するダービーマッチは、ミランが7位、インテルが9位と、いささか寂しい状況での対決となった。この大一番に向けて、インテルはワルテル・マッツァーリを解任してロベルト・マンチーニ監督を招聘。ミランのフィリッポ・インザーギ、インテルのマンチーニ……イタリアを代表する2人のストライカーが指揮官へと立場を代えてタッチライン沿いには立った。
ミランのインザーギ監督は、戦前から明言していたとおり本田圭佑をベンチスタートさせる。4-2-3-1システムの頂点にはフェルナンド・トーレス、2列目には右からジャコモ・ボナンベントゥーラ、ジェレミー・メネズ、ステファン・エル・シャーラウィが並んだ。守備では直前の練習でCBのアレックスをケガで欠き、SBも人材不足によりアディル・ラミーを右サイドで起用する緊急事態。一方のインテルは4-1-4-1システムで試合に臨む。1トップにはマウロ・イカルディが先発し、2列目にロドリゴ・パラシオ、マテオ・コヴァチッチ、ジョエル・オビ、フレディ・グアリンが並ぶ形か。そしてアンカーにはズドラフコ・クズマノヴィッチという布陣だった。そして、本田はベンチスタートとなったが、長友は右SBとして堂々、スタメンに名を連ねた。
|流れるような攻撃からミランが先制点をマーク
8分だった。ハーフライン近くからプレスを掛けるインテルが好機を迎える。自陣でボールを回していたサリー・ムンタリの横パスをイカルディが足を伸ばしてカットする。そのボールを拾いゴール前に抜け出したイカルディはシュートするが、GKディエゴ・ロペスの好判断で難を逃れた。その後もインテルが主導権を握っていた。右SBの長友は高いポジションを取り、右サイドMFのパラシオとの関係性をうまく使い攻撃を仕掛けて行く。攻めきれなくても、ボールを後方に戻して、サイドを変えてやり直す。ミランはロングボールを前線に蹴るも、肝心の1トップであるフェルナンド・トーレスがボールを収められず、その後の押し上げにはつながらなかった。
それでも先制したのはミランだったのだが……。
23分、ミランがこの日、一番の流れるような攻撃を見せる。中央で後方からのパスを受けたネメズが、左サイドのエル・シャーラウィに展開。全体的に押し上げ、エル・シャーラウィは内を走るムンタリにパスを出すと、左のオープンスペースに駆けだしていった。そこにムンタリから的確なリターンパスが出る。エル・シャーラウィはチラリと中を見て、クロスを入れる。これをメネズが右足ダイレクトで合わせるとゴール右に決めた。
先制したことで流れは変わる。ネメズのドリブルを中心にミランが攻勢に出るようになる。早く攻めるのではなく、キープすることで後方の押し上げを待ち、人数を掛けてインテルゴールを再びこじ開けようとした。インテルは失点前までできていた組織的な守備が構築できなくなる。ミランは中盤でもムンタリとエッシェンが相手の攻撃の芽を摘むことで、相手にリズムを作らせなかった。

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|後半に入り巻き返したインテルが同点に追いつく
だが、ここからが指揮官としての経験の差なのか。後半に入ると、再びインテルが息を吹き返す。53分にはインテルは遅攻により相手陣内に押し込むと、右SBの長友から鋭いクロスが入る。それで得たCKの流れからもイカルディがシュート。56分にもインテルは左右にボールを回し、遅攻を仕掛けた。
そして61分だった。自陣からのリスタートを正確につないだインテルは右サイドの長友から早いタイミングでクロスボールが入る。低いボールはミランのクリスティアン・サパタがクリアするが、これがオビの元に。オビは迷わずミドルレンジから右足を振り抜くと、ゴール右下にシュートは決まり、スコアは振り出しに戻った。
2点目を奪いに両チームの指揮官は同時に動く。マンチーニ監督が72分にエルナネスを投入すれば、インザーギ監督もフェルナンド・トーレスを諦めて温存していた本田を73分に投入した。特に本田投入後のミランには躍動感が生まれた。74分にはワンタッチでのスルーパスに抜け出したエル・シャーラウィが決定機を迎えたが、このシュートはクロスバーを叩きゴールならず。77分に本田が右サイドをドリブル突破して中に切り返すとミドルシュートした。
インテルも79分には長友の突破からチャンスを作ると、最後はグアリンのクロスをイカルディがボレーで狙ったが、これも枠を捉えられず。そのインテルは89分にパブロ・オズバルド、アディショナルタイムにはヤン・ムヴィラを投入したが、ゴールをこじ開けることはできなかった。

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|スコアは引き分けも、本田と長友が同時にピッチに立つ
ミラノダービーは1-1のドローに終わり、勝ち点1の痛み分けとなった。負傷者続出のミランは明らかにフェルナンド・トーレスを下げた後のほうが攻撃は機能しており、インザーギ監督がいつまでフェルナンド・トーレスに固執するのかが課題とも言えるだろう。一方、指揮官交代を行ったインテルには光明も見えた。今後、いかに4−1−4−1システムの精度を上げていくか興味深くもある。
スコア的にはドローに終わったが、日本人にとってこの試合は感慨深い一戦となった。ミラノダービーという歴史ある舞台に本田と長友と、2人の日本人選手が同時にピッチに立ったのである。本田はわずか15分程度の出場ではあったが見せ場は作った。長友は逆サイドのドドーとともに攻撃の起点となり、何度も駆け上がっていた。試合終了後、2人は握手をかわすと健闘を讃え合い抱き合ったが、それぞれ苦しい状況に立たされているチームを救うことができるだろうか。そんなことを感じさせる211試合目のミラノダービーだった。
(文・原田大輔)

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