通算168回目のマンチェスター・ダービーはシティに軍配

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2014.11.02
イングランド・プレミアリーグ第10節
マンチェスター・シティ 1-0 マンチェスター・ユナイテッド
[得点]
マンチェスター・C:63分セルヒオ・アグエロ
マンチェスター・U:

|連敗ストップを期したシティと、スタメンに苦しさが見られたユナイテッド
通算168回目を迎えた伝統あるマンチェスター・ダービーが、今季第10節で実現した。試合前の時点で、ホームのマンチェスター・シティは勝ち点17で3位。対するアウェイのマンチェスター・ユナイテッドは勝ち点13の8位につけ、両者の勝ち点差は4ポイント。順位的には上位につけるマンチェスター・Cだが、最近3試合は公式戦で白星なしの状態にあり、チームの状況は決して芳しくはない。同様にマンチェスター・Uも依然として波に乗りきれない状態が続いており、前節では首位のチェルシーに土壇場で引き分けに持ち込んだものの、実質的には“首の皮一枚”で上位戦線に踏みとどまっている状況にある。

過去の対戦ではユナイテッドの69勝、シティの48勝、引き分け50と、ユナイテッドが大きく勝ち越しているが、現在のユナイテッドは故障者が続出しており、まさに満身創痍の状態にある。それでもユナイテッドにとって今節は、上位戦線に残るためにも負けられない一戦だった。

ホームのシティは今ダービーの直近5試合を4勝1敗としており、現在は対ユナイテッド戦で3連勝中ながら、現状は公式戦3連敗中とあって、連敗を止めたいところ。しかし、今節はMFダビド・シルバがじん帯を痛めて約3週間の離脱となり、DFのアレクサンドル・コラロフも欠場。前線はセルヒオ・アグエロとステヴァン・ヨヴェティッチがコンビを組んだ。

対してユナイテッドはウェイン・ルーニーの出場停止が明けたものの、前節に引き続いてラダメル・ファルカオが間に合わずに欠場。マタをベンチに置き、ルーニーをスタメンで起用したものの、後方に目を転じれば右SBをアントニオ・バレンシアが務めるなど、依然として台所事情の苦しさを感じさせる布陣で臨んだ。

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|点取り屋の本領を発揮したアグエロの見事な先制点
前半は、現在の両チームの状況を象徴するかの如く、互いに攻めの形こそ作りながらもゴールへの遠さを感じさせる展開が続いた。立ち上がりこそアウェイのユナイテッドがボールを保持し、チャンスをうかがう姿勢を見せたが、互いに主導権を握るまでは至らない。

そんな中、先に決定機を作り出したのは20分のシティだった。トゥーレ・ヤヤが起点となって右サイドに展開したシティは、ボールを受けたサバレタがゴール正面のアグエロへマイナス方向のパスを送り、最後は後方からゴール前に走り込んだヘスス・ナバスがアグエロからのパスを受けてダイレクトでシュート。しかし、この至近距離からのシュートは、ユナイテッドの守護神デ・ヘアが弾き返して、先制を許さなかった。

シティは、その1分後にも左サイドからフェルナンドがスルーパスを受けて抜け出し、絶妙なクロスをゴール前に放り込むが、飛び込んだアグエロのシュートに対し、またもやデ・ヘアが勇気のある鋭い飛び出しで体を張ってシティの決定機の芽を摘み取っていく。

シティの攻勢に耐え、反撃の瞬間を狙っていたユナイテッドだったが、39分にスモーリングがこの日2枚目のイエローをもらって退場。早い時間帯でユナイテッドは数的不利となり、緊迫したダービーに水を差すとともに、ユナイテッドにとっては厳しい戦いを強いられることになる。

前半こそ0-0のスコアレスで折り返した両チームだが、10人になったユナイテッドは徐々に体力を消耗。対してシティは、ホームの大歓声を背にボールを支配し始め、プレスが弱まった相手をジワジワと追いつめていく。

そして迎えた63分、シティの見事な攻めによってようやく均衡が破られる。ペナルティエリア手前でボールを受けたトゥーレ・ヤヤが、左サイド深くまで駆け上がったクリシーへ鋭いスルーパスを出すと、ボールはスライディングでカットを試みた相手DFの足先がわずかに届かないコースへ通る。受けたクリシーはすかさずゴール中央のマイナス方向へ低いクロスを送ると、待ち受けていたアグエロが強烈なシュートをゴールに突き刺した。

ゴールを引き出したトゥーレ・ヤヤの絶妙なスルーパスや、得点が欲しい時間帯で決めた得点力はもちろんのことだが、それ以上に見事だったのは、クリシーの動きを見た瞬間にすかさずマイナスの位置にポジションを取ったアグエロの、ストライカーとしての嗅覚。まさに点取り屋らしい、質の高いプレーが呼び込んだ先制点だった。

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|最後に意地を見せるも1点が遠かったユナイテッド
それまで耐えに耐えてきたユナイテッドにとって痛い失点。試合はこのまま完全にシティが支配して進むかと思われたが、やはりそこは伝統のダービーとあって、ユナイテッドもやられっ放しでは終わらなかった。

70分に右サイドの深い位置でボールをキープしたファン・ペルシーが、巧みに体を入れ替えてドリブル突破し、相手守備陣の包囲網をくぐり抜けてペナルティエリア内に侵入。角度のない位置ながら、強烈なシュートを放って勢いを引き寄せる。

75分にユナイテッドは右サイドから最終ラインの裏をヘスス・ナバスに取られて突破を許してシュートを放たれるが、ルーク・ショーの執拗なマークとシュートがポストに直撃する幸運もあって追加点は許さない。そしてその2分後、戦列に復帰したルーニーが見せ場を作る。ピッチの真ん中でボールを持つと、ゴールへ向かった最短距離でドリブルを仕掛け、一気に相手守備網を次々とかわしてペナルティエリア内まで侵入。DFに潰されてこぼれたボールを、ファン・ペルシーがシュートに持ち込み、さらに流れたボールに反応したディ・マリアが右から強烈なシュートを放ったが、いずれもゴールを奪うには至らない。

数的不利の状況ながらユナイテッドも見せ場は作ったが、集中して守るシティの前に1点が遠く、そのまま1-0でシティが勝利。アレックス・ファーガソンが見守る“御前試合”でライバルに無念の敗戦を喫したユナイテッドにとっては、今後のリーグ戦の行方を占う上でも厳しい結果。一方、勝利したシティはこれで、1970年以来44年ぶりとなるマンチェスター・ダービー4連勝となった。

敗戦の結果以上に、ユナイテッドにとって痛かったのは52分に発生したトラブルだろう。数的不利となってからも最終ラインでシティの攻撃を防いでいたDFマルコス・ロホが肩を負傷して起き上がれず、そのまま交代を強いられたのだ。スモーリングの退場とともに、ロホも大きな負傷となれば明らかにCBの駒不足は必至。ロホに代わってピッチに投入された若手のパディ・マクネアがいると言っても、ただでさえ野戦病院と化しているチームだけに、ロホの状態は気がかりだ。

同じく負傷者を抱えるとはいえ、70分に負傷から戦列復帰したサミル・ナスリをピッチへ送り出したシティに比べると、勝ち点でも上位陣との差が広がりつつあるユナイテッドの状況は、その深刻さが異なる。試合終盤にはゴールを感じさせる攻撃を見せはしたが、今後どのような布陣を組んでくるのか。ユナイテッドにとっては早くもシーズン序盤で正念場を迎えたと言っても過言ではない。

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(文/宮坂正志)


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